弁護士はうつ病患者を見捨てた(最終章)


 信じられないことがおきた。山田は、職業別電話帳を引っ張りだし、市内の弁護士にだれからともなく電話をして、弁護をお願いした。

 すぐに引き受けてくれると思っていた山田の耳に入ったのは、「市を相手にした弁護をすると、その後、市の関連行事などに、呼んでもらえない。つまり、将来の仕事がなくなるので弁護はできない」との返事であった。

 たまたま、かけたところが悪かったのだろうと、別のところへダイヤルしてみるとやはり、ほぼ同様の回答がきた。
 さらに、次もそしてまた次も同じ回答だった。

 社会は、親方日の丸でしか動いていない現実を突き付けられた。最後にかけた弁護士に泣きつくようにお願いすると、残念だが、うちも同じ、ただ、市外の弁護士に頼むということはできると思うとアドバイスをくれた。

  後日、別の市の弁護士にお願いに出向いた。すると、弁護士は、「パワハラは、上司と部下のけんかだ。お金はいらないから帰ってくれ」とのことだった。

 驚いて、飛び込みで別の弁護士に相談に行くと、「弁護してもいい。ただ、この手の裁判は、勝っても、お金は、裁判料にもなるかどいうかだ。さらに、裁判をしたことで、職場での冷たい目にさらされ、正義のつもりが、悪人扱いに人は変わる。この裁判はやる価値がないと思う」との回答だった。

  結局、山田は、相談料だけを払い、帰宅することにした。そして、最初に裁判のことを持ち出した医師を紹介した主治医の元に行き、経緯を話した。



 それから、しばらく立ち直ることができずに山田は職場を休みがちになり、リストラ勧告を受け、職場を辞めざる負えなかった。

  こういう現実を、今後は、変えていきたい、そう山田は決意したのだった。

https://www.facebook.com/#!/counselingroom.sasebo