希死念慮

さて、入水の希死念慮から一転して職場に向かうというより、何とか家に帰る手段がほしかった。通用門の入り口にさしかかったところで事情をしらない契約社員が「よかった。これで入れる」と駆け寄ってきたが、「いや、実は自分も鍵もってないんだ」と言って入り口近くのソファに腰かけた。契約職員は何でという顔をしながらも次ぎに来る職員を待った。そこにやってきたのは昨日口論した部長だ。顔をくしゃくしゃにして事務所の中の館長室へうながした。館長室の外で大声で私が見つかったことをあいこちへ連絡しているようだ。妻も迎えに来るとのこと。しかし、このまま、待っていれば他の職員の顔を見ることになり今はそれに耐えられない。そこで妻がやってくるであろう駐車場へと向かって待つことにした。信号が変わるたびに探したがなかなか来ない。他の職員が次ぎ々とやってくるたび柱の後ろに隠れて気づかれないにようにした。それでいて他の会社の通勤の人の目も気になりどう見られているのか。事情は知らないはずなのに全て知っているようにも思えた。

新春生け花のヤナギからがでてきたところ