退職まで3日


 催眠術にかかったように、体が日ごとに重たくなっていく。気力が命を奪っていくようだ。
 介護施設にいる母親には心配かけないように話はしていないのも心が重たくなる。
 10年間勤め、人生を捨てられる私には、オヤジだ。お別れ会の話題さえあがらない。最後の日は、花束がつきものになっているが、私はそんなお金があったら東北の義捐金に回して花をさかせてもらうようにお願いした。
 カウントダウンは、ゆっくりと時を刻む。