涙が出るほどいい話


 「小さな親切」運動本部ー編…河出書房新社

 

忘れかけていた大切な何か、取り戻しませんかー

 みなさんのまわりで生まれる小さな優しさ、ちょっとした感動の出来事……毎日の生活のなかで、素直に「ありがとう」の一言が出る、そんなことってありませんか。
 人と人とのつながりが希薄になったといわれ、寒々としたニュースも少なくない昨今ですが、やっぱり人は一人で勝手には生きていけない存在…。そして、人と人が触れ合えば、そこにはかならず、忘れがたいドラマが生まれます。
 本書は「みなさんのまわりで起こった小さな親切」をテーマに、全国の方から寄せられた「いい話」を一冊にまとめたものです。
 一つ一つの話は短いものばかりですが、そこには人間がもつ優しさ、温かさ、生きることの素晴らしさが凝縮されています。そして、事実だからこその力強さと相まって、古今の名作に勝るとも劣らない輝きを放っています。
 本書を開いたあなたは、人間っていいものだなと、あらためて人を好きになり、なんだかうれしく、豊かな気持ちになることでしょう。
 忙しくて心に余裕がない、なんとなく人と関わりたくない、誰かと対立した、素直になれない…そんなときも、ここにある話を味わってください。優しい気持ちがきっと戻ってくるはずです。

 たとえば

コペンハーゲンでは、バスから体の不自由な人が降りる時は、身近にいる一番若い客が付き添って安全に降ろす。何のためらいもなく席を立ち、当たり前のように、バスは青年を待つ。

 とあった。ワールドカップサッカーで戦ったデンマークの優しさに触れたような気がした。