花火


 夏も終わろうとしている。夏らしい楽しみは何一つなかった。

 花火のように、何かに燃えて散るものも、頭にうかばない。

 昔は、夏は必ず一回は海に家族ででかけたものだ。今は、余裕がなくなったというか、何かにふりまわされている。

 目の前のキャンプ場のにぎわいもなつかしい。

 人世に散るときは、静かに散るだろう。花火のような華やかさは求める力がない