声が出ない


 仕事が終わり、母の病院へ向かった。叔母二人もお昼からずっと看病していた。手術の麻酔が切れてくるにつれて痛みがひどいらしい。私も昨年、胃を切ったときは、ドアの開け閉めの振動でさえやめてほしいという痛さだったのを憶えている。

 母は、こちらの言葉に、うなずいて反応するのがやっとだった。それでも「声がでない」とかすれた声を力をしぼって母が言った。「一日くだを口に入れられていたので今はしかたないけど、除々に声はもどるよ」と声をかけた。わかったとうなずいた。

 私の頭もうつとの闘いから答えになるような声が出ないのがつらい。