思いでトランプ…向田邦子(著)…新潮文庫

日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとしてとらえた

一昨日亡くなった友達は、とても天真爛漫だった。ある時、みんなでモスバーガーに出かけ注文をする中で彼女は、「マックシェークちょうだい」と大声で注文した。周囲はあわてて「ここにあるもの頼みよ」とさとした。しかし、彼女は、「だってマックシェーク食べたいんだもん」とごく当然のように答えた…また、仕事中に、「ちょっと消防署に聞きたいことあるけどダイヤル119でいいよね」次ぎの瞬間私は「ストップ」と言いきょとんとした彼女がいた。